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社説 被ばく作業員 東電に管理の法的義務を - 信濃毎日新聞

 2011年の東京電力福島第1原発の事故後、復旧や廃炉に従事した作業員らの労災申請が、10月1日で310件に上った。認定は269件。がんや過労死、精神疾患が含まれる。

 東電や請負業者による被ばく線量管理と、国の健康管理のずさんさは目に余る。検診と治療、補償を受けられず、健康不安を抱えたままの作業員、元作業員はどれだけいるだろうか。

 福島第1では原子炉建屋が水素爆発を起こし、核燃料が溶け落ちる過酷事故に見舞われた。直後に原子力緊急事態宣言が発令されてからの9カ月間だけでも、極めて高い放射線量下で、2万人が電源の回復、がれきの撤去、注水作業などに従事した。

 現在は1日当たり4千人が働いている。放射線量は低下しているものの、厳格な管理が求められる状況に変わりはない。

 東電は作業員一人一人に線量計を配り、雇用業者が別に持たせる線量計とで二重に被ばく量を測定しているとする。

 作業は、ゼネコンや大手企業が元請けとなり、2次、3次の下請けに回される。5次、6次に及ぶ例もある。警告音が鳴っても作業を強いられた、検診を受けさせてもらえない、防護服がない、労災申請をもみ消された、といった問題が頻発してきた。

 労働安全衛生法に基づく規則は線量の管理と防止策の義務を雇用業者に課している。発注元である東電の責任は曖昧だ。「大量に被ばくしても東電から何の指示もない」「現場の確認にも来ない」といった証言もある。

 国は、疾病の早期発見と救護を目的とする「健康管理手帳」を作業員に配らなかった。緊急時の2万人にさえ、一部を除き発給していない。後になって追跡調査を始めたものの、仕事を失う恐れや治療もしてもらえない不信感から応じる人は限られている。

 政府はいまからでも、作業員や元作業員の無料検診を認め、長期の健康管理体制を整えるべきだ。被ばく線量が法定基準を下回っても、病気になった際の柔軟な補償措置を講じる必要がある。

 雇用業者が線量管理で違反した場合の東電と元請け企業の法的責任を明確にし、下請け構造の弊害の解消につなげたい。

 作業員たちは「自分たちは捨て駒か」と訴える。まだ40年以上を要する廃炉を、誰かの犠牲の上に成り立たせるわけにはいかない。慢性的な人手不足から黙認しているのなら、言語道断だ。

(11月4日)

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