iPhone 12 miniの化粧箱。iPhone 12 Proなどと同様に、薄型にリニューアルされている。
撮影:西田宗千佳
「今年のiPhoneはこれで決まりだろう」
10月14日に「iPhone 12 mini」が発表になったとき、筆者はそう思ったし、記事にもそう書いた記憶がある。現在手元にはiPhone 12 miniのレビュー用機材があるが、その第一印象は間違っていなかったと思う。
iPhone 12 mini。カラーはブラック。
撮影:西田宗千佳
iPhone 12 miniの箱。ACアダプターとヘッドホンが付属しなくなった分薄くなった。
撮影:西田宗千佳
結論を先に言えば、iPhone 12 miniは「小さいiPhone」を求めている人には間違いなくベストの製品だ。同時に「長く使えるiPhoneをできるだけ安く買いたい」人にも、ベストな製品だということだ。
それはどういうことなのか? 実機を見ながら解説してみよう。
本体は小さく、ディスプレイは大きく
左から、Pro Max・Pro・12・12 mini。miniのサイズの小ささが際立つ。
撮影:西田宗千佳
iPhone 12 miniの最大の特徴は、やはり「サイズ」だ。Pro Maxから4種類の全てを並べてみると、miniのサイズ感は魅力だ。今回はiPhone 12 Pro Maxをセットでレビューしたため、特にサイズ差が目立つ。
iPhone 12と12 miniをそれぞれ片手で握ってみた。miniは軽々と持てるが、12だと少し余る。
撮影:西田宗千佳
スマホはずっと大型化を続けていて、そこに不満を感じる人は多かっただろう。特に日本の場合には、他国と違ってフリック入力を使う人が多く、「片手で持てるスマホ」が好まれる傾向にはある。
2020年には低価格・小型iPhoneとして人気がある「iPhone SE」がリニューアルされたが、iPhone 8をベースにしているため、初代iPhone SEほど小さくはなかった。
iPhone 12 miniは、初代SEに比べると大きいが、第二世代SEよりも小さく、軽々と片手で持てる。ケースをつけても軽くコンパクトな状態が維持されるのでインパクトは大きい。
アップルのホームページより。初代iPhone SE/2世代目iPhone SEと、iPhone 12 miniを比較すると、初代よりは少し大きいものの、ディスプレイサイズはグッと大きくなっている。
出典:アップル
それでいて、ディスプレイが「最新の有機ELである」という仕様面の向上は大きい。本体のサイズにかなり近い、大きなディスプレイを採用しているのがポイントだ。
もちろん、このコロナ禍でマスク着用時の使用が増えるなか、指紋認証ではなく顔認証であるのは残念なところだが、それを差し引いても、ディスプレイがフルサイズであるのはiPhone SEと比較する際のメリットだとは思う。
小さくても通信も動作速度も高速
iPhone 12 miniよりも小さなスマホはある。直近に発売されたライバルとしては「Pixel 5」があるが、あちらの方がminiよりさらに軽い。
miniの美点は、この小ささであるにもかかわらず「ハイエンドスマホそのものである」という点だ。iPhone 12シリーズに採用されている「A14 Bionic」はかなり高速なプロセッサーであり、miniでも同じプロセッサーが使われている。
性能面は、最もサイズが大きなPro Maxも、miniも大差がない。実際ベンチマークテストをみても差はなく、体感でも差を実感することはほとんどない。実際のところ、メインメモリー量は6GB(Pro Max)と4GB(mini)という差があるが、iOSの特性もあって、ほとんど気にならないだろう。主にこの差は、カメラやLiDARなど、ある種の付加価値の部分に効いてくるものだ。
右がiPhone 12の、左がiPhone 12 miniのGeekbench 5での結果。ほぼ誤差と言える差であり、同じ性能と言っていい。
iPhone 12の特徴である「5G通信」についても、品質は同じだ。
その分、価格は安価とは言い難い。小さいスマホは安価なもの、という思い込みもあるので若干の違和感がある。
とはいうものの、コンパクトかつ高性能というのは、「長い間使えるスマホを選ぶ」という意味ではプラスだろう。
小さいけれど優秀、小さい分手ぶれしにくい?意外なメリット
ではカメラはどうか?
もちろん、カメラの数や搭載しているセンサーが違う12 ProやPro Maxとの差はある。だが、iPhone 12とは本当に、全く差がない。
iPhone 12 miniで東京駅を撮影。次のiPhone 12 Proと比較すると、描写に大きな違いはないことがわかる。
撮影:西田宗千佳
iPhone 12 Proの描写。
撮影:西田宗千佳
2019年発売のiPhone 11 Pro Maxで撮影。ムーディーな絵作りを目指していたようで、12シリーズとは大きく方向性が違うようにも見える。
撮影:西田宗千佳
これはiPhone 12もそうなのだが、2019年モデルのiPhone 11に比べ、写真全体の印象はかなり良くなっている。夜などにちょっと明るくなりすぎた印象もあるのだが、全体的にわかりやすく、はっきりした印象の写真が撮れる。それはminiもまったく同様。
そういう意味では、「12を選ぶべきか、miniを選ぶべきか」は、サイズを中心に考えて問題ない。カメラ性能はほぼ同等と考えて良さそうだ。
ちょっと面白いのは、miniの方が失敗写真が少ないように見えたことだ。答えはおそらく、miniが軽い分手ぶれしにくいからだ。そういう意味では、小ささも「撮影しやすさ」に影響する。
唯一の懸念点は小ささゆえの「バッテリー動作時間」
iPhone 12 miniとiPhone12のカラバリ。サイズ以外は共通だ。
出典:アップル
miniの唯一の違いは、他のモデルに比べ「バッテリー動作時間が短い」点が挙げられる。
スペック的にいうと、iPhone 12は「ビデオ再生で17時間」とされているが、miniは「同15時間」と短くなっている。実際使ってみると、miniの場合、夜にはバッテリー残量がずいぶん減っていて、「帰宅したら確実に充電したい」と思える印象だった。
出典:アップル
iPhone 12の場合には「夜ベッドに入るまではなんとか」という印象。余裕があるのはやはり、サイズの大きな12のほうになる。
ただ、これでもiPhone SEよりは長くなっていて、今や大きな問題というわけではない。
問題が顕在化するとすれば、5Gのエリアがさらに広くなり、5Gで通信をする時間が長くなっていったときだろう。4Gに比べると5Gは消費電力が大きくなるので、より不利にはなる。
これについては、結局、本体サイズ=バッテリー搭載量になってしまうので、ある意味で宿命といえる。バッテリー動作時間を重視するなら、本体が大きく重いPro Maxを選ぶべきだし、必要ならばモバイルバッテリーを……ということになるだろう。
そういう意味では、miniの美点はこのコンパクトさなのだが、5G時代に「どのくらいのサイズ・バッテリー動作時間が求められるか」という試金石になる可能性も高い。
(文・西田宗千佳)
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