
全国民を対象とした一律10万円の「特別定額給付金」の支給が始まっていますが、大阪府寝屋川市は5月28日、システムトラブルが原因で2196人分、合計2億1960万円を二重に支給していたと発表しました。市は二重払い分の回収を進めています。このほか、福島県天栄村でも1億1620万円分の二重払いが判明しています。 もし、国や自治体から誤って多くの金が振り込まれた場合、過払い分のお金を使ってしまうと法的責任を問われるのでしょうか。芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。
利息付きで全額返還求められることも
Q.国や自治体から、予定よりも多くの現金が誤って振り込まれたにもかかわらず、過払いがあった旨を正直に申告しなかった場合、法的責任を問われるのでしょうか。 牧野さん「国や自治体のミスであれば、過払いがあった旨を正直に申告しなかったとしても、それだけでは刑事責任を問われたり、損害賠償を求められたりすることはないでしょう。 ただし、民法703条に定められている『不当利得の返還義務』はあります。同条は『法律上の原因』(正当な理由)がないのに、他人の損失と引き換えに利益を得た人は、その損失を受けた人に対して、受けた利益を返還しなければならないと定めています。よって、過払いに気付いたのであれば、国や自治体に過払いがあった旨を速やかに伝え、過払い金を返還するのが望ましいでしょう」 Q.もし、過払いされたお金を使ってしまったとしたら、過払いを知りながら使った場合と過払いを知らずに使った場合では、返還額に違いが出るのでしょうか。 牧野さん「『不当利得』の返還を請求できるのは本来、『その利益の存する限度』、つまり、最大でも過払い金の額に限定されますが、受領者が過払いと知ったのに使っていれば悪意があったことになり、その場合、過払いした側は、受領者が得たすべての利益(過払い金全額)に利息を付けて返還請求ができますし、損害賠償を求めることもできます(民法704条)。一方、過払いと知らずに受領者が使ってしまった場合は、返還額は『過払い金全額』が上限となります。 『使ってしまったから全額を返すのは無理』と言いたくなるところでしょうが、過払い分を生活費やローン返済などに充てていた場合、不当利得が形を変えて、自分の財産として残っていることになり、銀行預金などの残高があれば『利益が手元に残っている』と解釈される可能性が高くなります。そこで、国や自治体は銀行預金などからの返還を求めることになるでしょう。 銀行預金がない場合は、給与などから毎月少額ずつでも返金する契約を結んで、将来的に返金してもらうことになるかもしれません。なお、過払い金を遊興費で浪費してしまった場合は、不当利得の『利益』がその浪費分減ったことになり、残った金額だけが返還対象になります。浪費した人が返さずに済んで、生活費として使った人が返す必要があるというのは釈然としないかもしれませんが、法解釈上はそのようになります」 Q.過払い金の返還請求に時効はあるのでしょうか。 牧野さん「一般債権の消滅時効に該当します。基本的には、過払いを知ってから5年、過払いを行ってから10年を経過すると返還請求できなくなります」 Q.国や自治体が誤って住民に多くの金額を支給し、それがトラブルになった事例・判例はありますか。 牧野さん「大阪府摂津市が、2018年度の府民税1502万円を60代男性に過大に還付していたと5月に発表しました。市は男性に返還を求めましたが、男性の代理人弁護士は(1)法律上、男性は不当に利益を得たことになるが、民法では手元に残っている利益のみ返還義務を認めている(2)男性は『全額使った』と主張している――ことから、市が返還を求めて提訴した場合は争う方針ということです」
オトナンサー編集部
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June 09, 2020 at 05:58AM
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